室戸岬遠征?−幻のサザナミヤッコ−2007年9月1日、2日

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今回の獲物たち   (クリックで拡大)

   2007年9月01日(土)〜02(日)、会社の同僚と室戸岬に1泊2日でキャンプ遠征に行ってきました。遠征と言えば遠征なのですが、いつものホームグランドから40km程度、時間にして+1時間程度で、自宅から2時間45分ぐらいですので、たいした遠征ではないです。日帰りも十分可能です。

   室戸に着いたのは14時過ぎぐらいですが、どこにキャンプを張るかがなかなか決まらずに、結局場所が決まったのは15時ぐらいでした。なぜそんなにかかったかについてはいくつかの理由があります。

  1. 優柔不断である
  2. 荷物が多いため、なるべく車から近いところであること
  3. 下が芝生、砂浜等の柔らかいところであること
  4. できれば真水のあるところ
  5. 採集に適したところ(観賞魚採集目的)
  6. 漁獲高の上がりそうなところ(食用魚捕獲目的)

   これらすべてを満たすような「ここだ!」と言えるような場所は、当たり前ですが、なかなかありません。1.はどうしようもありませんが、結局、4.はあきらめて、その他の条件の最大公約数的な場所を選びました。


1日目

   15:30ぐらいから約2時間ばかり浮遊しました。透明度は良好。珊瑚はあるにはあるのですが、密集した群落がある訳ではなく、ポツリポツリといった感じで、いつもの徳島のホームグランドの方がはるかにあります。想像したよりもお魚さんたちはいません。特にチョウチョウウオ系はナミ君を除いてほとんど見えません。

   程なくして、ちょっと奥まった岩の穴を覗くと、なななんと、小さなサザナミ君がいるではないですか。しばらく眺めていると一箇所でフラフラしています。緊張しながら待ち網を構えて、追い出し棒で追い出しますが、小さな穴は奥が深いらしく、追い出してもうまくいきません。そんなことを何回かやっているうちに見失ってしまいました。

   諦めて、他のところを当てもなくさまよっていると、またまたサザナミ君です。詳しいロケーションは忘れてしまいましたが、捕獲は無理かなというような場所だったと思います。案の定、無理でした。

   再び諦めて、他のところを当てもなくさまよっていると、またまたサザナミ君です。これも詳しいロケーションは忘れてしまいましたが、とりあえず捕獲を試みます。そして、数分後、追い出し棒で追い立てられたサザナミ君が待ち網に入りました。心拍数増大、急いで水面まで戻り、慎重に生簀に入れます。無事生簀に入った瞬間は何ともいえない感動でした。体長わずか2cm程度の小魚を捕獲しただけですが、この1匹だけで、室戸まで来た甲斐がった、今回はもうこれだけでいいとさえ思いました。

   という風に余韻に浸りつつも浮遊していると、なななんとまたしてもサザナミ君発見。しかし今度は水深3m程度で、サザナミ君はガンガゼ君のいる穴周辺で行ったり来たりしています。その穴に入り込まれたら手の出しようがありませんので、水面で浮遊しながら、何とか離れるのを待っていたのですが、離れてくれません。15分以上粘りましたが、状況は変わらないため、一か八かで突撃しましたが、やはり穴の奥深くにろう城してしまい、見えなくなってしまったので、諦めることにしました。しかし、既に1匹捕獲しているので、比較的余裕です。

   こうして1日目に望外の成果をあげ、陸に戻り、大事に生簀に入れました。生簀でヒラヒラ泳いでいるサザナミ君はとてもかわいく眺めていると改めて感動がよみがえってきました。同僚にも「かわいいだろ。」っと言いましたが、彼はそれほどでもないようでした。まあ、興味がなければただの小魚ですからね。生簀を海につけて、1日目の採集活動は終了です。

   ここで、非常に悲しい、後悔してもしきれない出来事が起こりました。それは、夜、生簀を確認しに行き、サザナミ君は元気かなと思い生簀を覗き込んだときのことでした。するとなんとサザナミ君の姿がどこにもありません。「そ、そんな馬鹿な。」何度も確認しましたが、いないものはいません。「なぜだ?」よく見ると、生簀のファスナーが、3〜4cmだけ閉まっていませんでした。そこから逃げたとしか考えられません。そういえば、生簀を水につけたのは私ではなく、同僚に頼んでやってもらったので、よく確認しなかったんだなと、同僚を恨むよくない考えがおきました。(単に怒りというか落胆の念をぶつける先がなかっただけの話です。)

   しかし、同僚の名誉のために言っておきますが、実はこれは同僚のせいではなく、自然現象であるということが翌日に判明します。生簀をつけていたのは岸壁ではなく、波が打ち寄せる磯のやや深そうなところでした。波はひっきりなしにやってくるので、それに揺られて生簀はあっちに行ったりこっちに来たりします。そうやっているうちにファスナーが緩くなっていくようです。2日目に今度はしっかりファスナーが閉まっていることを確認したにもかかわらず、体長1cm程のクマノミ君を同じように逃がしてしまいました。これですべてが判明しました。

   「逃した魚は大きい」と言いますが、この場合、魚は実に小さいのですが、落胆度合いは超大物を逃したときのそれと大差ありません。こうして、後悔の念にさいなまれながら、ビールに逃げつつ夜はふけていくのでした。(ちなみに夜中は滝雨で、遠いながらも雷もなっており、かなり荒れた夜となり、まるで私の心のようでした。)


2日目

   2日目は午前と午後にそれぞれ数時間ずつ浮遊しました。

   まず午前の部ですが、海に向かって左側の漁港方面を主に探索しました。50cmを越すような大きな緑や茶のブダイ君、ウツボ君がいますが、お目当てのお魚さんたちはいません。2cmぐらいのミナミハコフグ君がいたので、一応捕獲しておきました。サザナミ君は1匹も見ませんでした。午前の部はこれにて終了です。

   そして午後の部です。今度は海に向かって、右側を主に探索します。しばらくしてサザナミ君発見です。今度はやや大胆に、あるいはあまりよく考えずに突撃しました。結果、待ち網にサザナミ君が入った・・・ように見えました。しかし、確認してみると正体不明の貝が入っているのみです。移せ身の術でしょうか、跡形もなく消えていました。昨日ほどではありませんが、やはり落胆します。

   さらに、サザナミ君を求めて放浪します。大きな岩の斜めに走るスリットを覗くと、なんと、サザナミ君がいるではないですか。しかも結構採りやすそうです。しかし、現実はそんなに甘くありません。またしても穴の奥行きが深く、何度やってもその奥に逃げ込まれます。結局そこで同じようなことを30分ぐらいやりましたが、ダメでした。

   またしばらく行くと、今度は壁一面にイソギンが付いているところに出ました。イソギンと言えばクマノミ君です。辺りを見回すと、いました、いました。クマノミ君です。しかし10cmはあろうかという巨大クマノミ君です。ここまで大きいと水槽に入れる訳にもいかないので、見るだけに留めました。その反対側の壁には下の方に1cmぐらいの黒いクマノミ君がいます。これは捕獲したいところなので、突撃しましたが、後一歩で取り逃がしました。

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調理前のオニカサゴ君   (クリックで拡大)

   イソギンと戯れる巨大クマノミ君をしばし眺めた後、新天地を求めて移動し、何気なく岩を見ると、そこにはなんと巨大なオニカサゴ君がいるではないですか。しばし眺めるも、まったく動きません。オニカサゴ君といえば、高級魚ですが、ひれに毒があるのは有名です。捕獲すべきかどうか迷いましたが、そこはやはり食欲に負けました。動かないので、捕獲は楽勝です。しかし、生簀に入れるのがちょっと大変でした。生簀の口を広げて入れるときに、中指の腹をチクンと軽く刺されてしまいました。さすがに動揺しましたが、毒のある鰭ではなかったのか、何事もありませんでした。正に不幸中の幸いです。(ちなみに、このオニカサゴ君は後日おいしく頂きました。その様子はこちら。)

   ちょっとあせりましたが、高級魚ゲットに気をよくし、戻りがてら探索を続けます。先ほどのイソギンエリアには相変わらず巨大クマノミ君がいます。捕獲しても放流するのですが、とりあえず捕獲を試みました。近づいて、待ち網を構えると、イソギンの壁に隠れます。どこにいるのかよく判らないので、イソギンに触れていくと、勢いよく飛び出してきて、待ち網の中に飛び込んできました。他に逃げられるところはいくらでもあったろうに、運の悪い子です。

   さらに反対側の壁にも例の小クマノミ君がいます。しかし、ここで問題が一つ発生しました。先ほどはいなかったのですが、ちょうど小クマ君の30cmほど上の穴から凶暴そうな黄色いウツボ君が顔をのぞかせています。さすがに私も丸腰でウツボ君と勝負するのもいやですし、そんなことをして騒いだら、せっかくの小クマ君もいなくなってしまいます。ということで、脚ヒレの先で何とか穴に押しとどめるように試みましたが、一向に効果はありません。ただ、それに向かってくるようなことはありませんでしたので、無視することにして、小クマ君に突撃しました。先ほどは取り逃がしましたが今度はうまくいきました。

   気をよくして、そろそろ岸に上がろうとしていたら、新天地に出くわし、そこには少し大きい(6cmぐらい)けれど、まあまあのサイズのクマノミ君がいました。もういい加減疲れていたので、両手に持った網を適当にエイッとばかりに振ると、なぜか網の中に入っていました。どうやらここら辺のクマノミ族は運が悪いようです。そこではさらにニジハギ君も発見しました。ニジハギ君も欲しいお魚の一つですので、何度かトライしましたが、ダメでした。結構あっさりと引いて、岸に上がろうとすると、今度はシマハギ君です。ニジハギ君ほどではないですが、シマハギ君もいてもいいお魚さんで、かつ、サイズも3cm弱とちょうどよかったので、軽い気持ちで突撃しました。逃げると思われる方向下方に右の網を持っていき、左の網で追い立て、右の網の上に来たときに、下から掬い上げました。無欲の勝利というか、高等テクニックというか、あっけなすぎるくらい簡単に捕獲できました。そんなもんなんですね。殺気が伝わるのか、あまりギラギラしていては、ダメということかも知れません。これにてすべての採集終了です。

   陸に戻り、獲物を生簀に移し、磯の波打ち際につけておきました。このときは気がつかなかったのですが、同僚曰く、途中生簀が陸に打ち上げられ中にいたミナミハコフグ君が干物になっていたとのことでした。そんなはずはない、ちゃんと確かめたのにと思い、再度確認すると、体色は生きているときの黄色いままでしたが、よく見ると確かにお亡くなりになっていました。残念なことをしました。さらに、前述の通り、小クマ君も消えており、またまた生簀のファスナーが少し空いていました。今回の教訓として、生簀を海につける場合に、生簀そのものの特性や、つけておく場所等をよく考えないと、せっかく苦労して捕獲した獲物が無駄になってしまうということを学習しました。

   今回のキャンプは泳ぎすぎで、かなり疲れました。特に2日目は結構波があり、これに揺られたせいか、帰りの車の中では気づきませんでしたが、家に帰ってソファーにかけていると、まだ、身体が波に揺られている感じがしていました。同僚には、長いこと海に入りすぎと言われました。その通りかも知れません。しかし、そこに獲物がいるとつい長くなりますし、いないと探し回って、これまた長くなり、結局どうしても長くなってしまうのです。多分これは直りませんね。あー、疲れた。



P.S. ここは採集のページなので、余計なことは書きませんが、今回に関連して、このほかにも以下のようなトピックスがありました。



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