トノサマ君、ニジハギ君ゲット−2007年10月13日、14日

   2007年10月13日(土)〜14(日)、家族で徳島県最南部へ一泊二日の小旅行に行ってきました。旅行と言ってもいつもは一人で日帰りする場所です。家族サービスも兼ねての採集ですが、サービスと思っているかどうかは定かではありません。10月も半ばとなり、ここ数日は最高気温も25℃を割り込むなど、めっきり秋らしくなり、さすがに海に潜るかという気を萎えさせる今日この頃です。しかし採集はこれから後1月が勝負です。今回もサザ君を求めて行ってきました。

   今回に限らずどうも今年は運が悪いのか、行いが悪いのかは定かではありませんが、天候の巡りあわせがよくありません。前回の第三回室戸征伐ではついに海に潜ることが叶いませんでしたし、前々回の第二回室戸征伐ではかろうじて海には潜りましたが、かなり波の高い厳しいコンディションでした。今回も波が高く、砂浜にはサーファーがいっぱいです。ただ、ここは入り江になっていますので、余程のことがない限りは潜り可です。

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検疫水槽のチビフウライ君   (クリックで拡大)

   多少肌寒いものの、海に入れば気にならないはずだと自分を言い聞かせ、ウェットスーツに着替えて宿の目の前に突撃します。ん、思ったより冷たいです。しかも、外海の荒れの影響で、かなり濁っています。いきなり暗雲垂れ込めています。しかし、ここまで来たら無視するしかありません。そうして少し沖に出ると、濁りも多少ましになり、水温もかえって暖かくなりました。しかし、肝心のお魚さんがいません。サザナミ君狙いですので、岩の切れ目を丁寧に覗いて行きますが、サザ君はおろか、チョウチョウウオ系のお魚もほとんどいません。さらに沖の方に出るとようやく少しずつお魚も増えてきましたが、それでも大したものはいません。坊主もいやなので、トレーニングがてら岩の隙間にいた親指の爪ほどのフウライ君をゲットしました。その他チョウハン君もいましたが、こちらはいい所に追い詰めることもできずに軽く遊ばれてしまいました。まあ、この場所はこんなもんだなということで、見切りをつけて、1日目は終了とします。

   2日目は風も波も穏やかになりましたが、天気はいまひとつで、時折小雨のぱらつく曇り空です。朝食後、ホームグランドの珊瑚域に出漁します。ここではサザナミ君というより、トノサマ君、スミツキ君、ミスジ君、クマノミ君、ニジハギ君等がメインターゲットです。あまり潮が引いていないということもあり、いつもより手前からエントリーしたせいもあるんでしょうが、あまりお魚さんがいません。とりあえず波打ち際にいるニジハギ君にちょっかいを出しますが、いつものことながら軽く逃げられます。ハギ系は素早いので、なかなか手強いです。こちらもはなから採れないだろうぐらいの気持ちでやってますのでさほど気にもせず、進みます。

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クマノミ水槽に入った珊瑚イソギン   (クリックで拡大)

   次第にお魚さんは増えていくのですが、珊瑚域ですので、珊瑚に隠れられるとなす術がありません。このままでは坊主になってしまうので、さらに沖に進み、クマノミ君を探すことにします。クマノミ君の小さいのは比較的捕獲しやすいからです。以前にイソギン地帯を発見していますので、そこを目指しますが、なかなか発見できません。ポツリポツリと珊瑚イソギンがありますが、クマノミ君はいません。ちょうど採りやすそうなところに手頃な大きさの珊瑚イソギンがいましたので、イソギンの付着した石ごと拾いあげ、水面で丁寧にはがします。最悪今日はこれのみですが、イソギンも傷つけずに捕獲するのはかなり難しいので、このようにとりやすいイソギンを発見できたのはラッキーと言えます。珊瑚イソギンにも褐色のものと(大型の個体に多い)、黄緑色の蛍光色をしたもの(比較的中小型に多い)がありますが、蛍光色のものは本当にきれいです。水槽に入れるとしばらくは蛍光色を維持しますが、時期に褐色になっていきます。何とか維持できないものかと思います。

   さて、そうこうするうちにクマノミ君を発見しました。しかし、巨大です。あまりにも巨大です。15cmぐらいあるんではないでしょうか。塩焼きにできそうです。さすがにこんなに大きいのは捕獲対象としません。次に、またまたクマノミ君発見です。しかし、小さいです。あまりにも小さいです。でもこれは捕獲対象です。潜行して捕獲を試みます。多少舐めていたところもあるのですが、網の形をいい加減にしか調整しなかったため後一歩のところで網に入りませんでした。それも手で触って網に誘導したにも関わらずにです。それ以上粘ると土左衛門になってしまいますので、イソギンを目印にして一旦水面に戻ります。水面に戻って目印のイソギンを見ると、なんと、どこにもありません。おそらく今の騒動で閉じてしまったんでしょう。結局見失ってしまいました。さらに少し探すと、またまたクマノミ君発見です。今回のも小さいです。さっきと同じくらい小さいです。一応捕獲対象ですので、捕獲を試みます。今度はうまく網に入りました。入ったはずです。しかし、実際には入っていません。うーん、不思議です。小さすぎて網の目からすり抜けたのかもしれません。なかなかいいサイズはいないもんですね。まあ、クマノミ君については発見すれば何とかなるなという妙な自信がつきました。

   クマノミ君はいい加減にして、次に、ポリプ食系のお魚を捕獲に向かいます。います、います。トノサマ君、スミツキ君、ミスジ君、ヤリカタギ君。彼らはすぐに珊瑚に隠れてしまいますので、今まで捕獲したことはありません。今回も試しに何回かちょっかいを出しますが、まったく相手にされません。やはり、珊瑚域では珊瑚トラップ作戦などの特殊作戦でも用いない限り、通常攻撃では無理があるようです。しかし、珊瑚トラップ作戦といっても、かごぐくたの経験からは簡単にはトラップにかかってくれませんので、他の採集家の方はどうやって捕獲されているのか不思議です。まあ腕と言ってしまえばそれまでですが。

   なかなかいいサイズがいい所にはいないので、多少大きくてもちょっかいを出します。そのうち大きいのが岩の裏に隠れましたので、反対側に待ち網をセットし、追い出し棒で追い立てました。すると、見事に待ち網の中に大殿様(トノサマ)が飛び込んできました。どうせならもっと小さいのがよかったんですが、この際贅沢は言ってられません。なんと言っても、かごぐくたにとっては初のトノサマ君です。それまで携帯生簀に入れていたイソギンを網の袋に移し、丁重に携帯生簀にお入り頂きました。やはり、岩壁等に追い込まないとダメですね。しかし小さいのほど珊瑚から離れませんからたちが悪いです。

   大殿ゲットに多少気をよくし、そろそろ岸近くでニジハギ君にチャレンジしようと岸に向かって戻り始めました。途中またまたちょっと大きめですが、チョウハン君を発見しました。勝手に岩棚の下に潜りこみます。普通は奥が行き止まりなんてことはありえないので、不用意に覗いても逃げてくれと言っているようなもんです。しばし待ちますが、一向に出てくる気配がありませんので、痺れを切らしてこちらから覗きに行きました。すると予想に反して、中は袋小路になっていました。これは正に千載一遇のチャンスではないですか。待ち網をセットし追い出し棒で追い立てます。この時点でほぼ95%捕獲したと思ったんですが、セットした網の上にできた隙間から見度とに抜けて行きました。我ながら詰めが甘いですね。

   気を取り直してしばらく行くと、今度は全身黄色のモンツキハギ君を数匹発見します。このうち1匹がやはり岩陰に隠れましたので、大胆に攻撃に行きます。これも運よくとりやすい地形です。待ち網をセットし、追い出し棒で追い立てます。またかと言われそうですが、本当にこれは絶対に採ったと思いました。地形的に逃れようがない状況だったからです。しかし、あろうことか、待ち網と岩の間にできた数センチの隙間から見事に逃げられました。敵ながらあっぱれとはこのことです。などと言っている場合ではありません。我ながら本当に詰めが甘いです。

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水槽で早くもくつろぐニジハギ君   (クリックで拡大)

   最後に岸近くでニギハギ君にトライします。ニジハギ君はいつも岸近くにいてそんなに珍しいお魚ではありませんが、なかなか派手なカラーリングでかごぐくたの好きなお魚です。非常にすばしっこいので捕獲は困難ですが、過去に一度だけ捕獲したことがあるので、捕獲できない訳ではありません。数匹にトライしますが、いずれも素早く石の裏に隠れます。石全体を囲むような網でもあれば別でしょうが、なかなか手網だけで石の裏に隠れたお魚を捕獲するのはつらいです。無理を承知で何度か待ち網をセットし、石をめくってみるものの、お魚の姿はないか、全然別のところから逃げ出してしまいます。なぜか今回は無性にニジハギ君を捕獲したかったので、あきらめ悪くやっていると、ちょうどいいサイズがやや小さめの石の裏に隠れました。ダメもとでやってみると、な、な、なんと、石の下から勢いよくニジハギ君が飛び出し、待ち網に飛び込んできました。や、や、やりました。ちょうど波酔いが始まりかけていたときでしたので、水面に上がったとたん、「おーっ」という歓喜のおたけびと「オエッ」という吐き気が同時に出ました。サザナミ君はいませんでしたが、ニジハギ君が捕獲できたので満足です。今回はこれにて終了です。

   今回の反省点として、もう一歩と言うところまで追い込んでおきながら、結局逃してしまうという詰めの甘さが目立ちました。タイドプールではなく自分の身長よりも水深のある所で、潜っての捕獲劇ですから、1回の潜行時間には限界があります。焦るあまり待ち網のセットを完全にするのが難しいのも、水中で身体を固定するのが難しいのも事実です。しかしそれらを割り引いてもちょっと詰めが甘いと言わざるを得ません。この点は次回以降の課題です。ただ、ダメもとで大胆にトライした結果、いい結果がでたのも事実です。大胆かつ緻密にという一見相反する二つのどちらが欠けてもダメだということですね。でも、ちょっと腕をあげた気がします。



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