常々思っていたことですが、最近（と言ってもここ10年ぐらいでしょうか？）、箸をちゃんと持てない人がやたらと目に付くようになりました。実は、箸をちゃんと持てない人の数はそんなに変わっておらず、単にそれが気になるようになっただけかもしれません。というのも、若い人に特に多いと言いたいところですが、そうでもなく、老若男女問わず、変な持ち方をしているからです。職場でもちゃんと箸を持っている人は殆どいません。これだけいないと、ちゃんとした持ち方と思っている持ち方が実はちゃんとした持ち方でないのかも知れないとさえ思えるほどです。テレビを見てもそうです。ドラマや食べ歩きものの食事シーンでも、ちゃんとした持ち方を見ることは殆どありません。
別に、変な持ち方をしていても、他人に迷惑をかける訳でもありませんし、本人が恥ずかしい思いをするだけですので、どうでもいい話なのですが、この「本人が恥ずかしい思いをするだけ」というのがミソなんです。中には単純に、変な持ち方をしていると気づいていないだけの人もいますが、多くの人はあまり気にしていないようです。たまに職場の人間に大きなお世話は百も承知で、「箸の持ち方がおかしいよ。」と指摘することがあるのですが、そのときは「えー、そうですかー？」などという反応はあるものの、大して気に留める様子もないようです。そうです、彼らは変な持ち方をしていることを大して恥ずかしいこととは思っていないようなのです。これはテレビを見れば一目瞭然です。テレビの中で、きれいな女優さんや大物ぶった俳優さんが平気で変な持ち方をしています。それを誰も直さずそのまま放映してしまうということは、出演者や製作者が変な持ち方を気にしていない、少なくとも恥ずかしいこととは認識していない証拠です。箸もちゃんと持てないくせに食通ぶったりすると滑稽でしょうがありません。（この辺りはテレビももう少し意識して頂きたいところです。テレビで普通に変な持ち方が映されれば、たとえ変な持ち方であってもだんだんと違和感がなくなっていきます。）
変さの程度にもよりますが、かごぐくたはきれいなおねーさんが変な持ち方をしているとそれだけでげんなりしてしまいます。（かと言ってそのおねーさんを嫌いになるなどということはありませんが、少なくとも幻滅はします。）こういったことは学校で教えることではなく、家でしつけることです。従って、親がちゃんと持っているのに、子が変な持ち方をしていると、親がかわいそうです。
同じ種類の問題として、鉛筆の持ち方があります。こちらも箸ほどではないものの、相当に変な持ち方が横行しています。非常に大雑把な印象ですが、箸をちゃんと持てない人は鉛筆もちゃんと持てないし、逆にちゃんと持てる人は両方ちゃんと持てるという相関関係があるような気がします。
箸も鉛筆も日本人として超基本的な作法と言ってもいいと思います。面白いことに、これらはまったくダメ、あるいは無関心なのに、西洋かぶれの間違った作法を気にする人が結構います。典型的な例は、うどん、そば、ラーメンといった日本食である麺類を食べるときに音をたてないように非常に不味そうに、しかも変な箸の持ち方で食べる人です。こういう人を見ると、「つける薬がないな。」と思ってしまいます。これらの麺類を食べるときの「ズズーッ」という音は「美味しそうな音」であり、「食欲を掻き立てられる音」です。ましてや、そばに至っては音をたてて食べるのが作法だと聞いたことがあります。美味しそうな音を立ててそばを食べるシーンを演じることは落語の重要な芸の一つです。うどんやラーメンも作法とまではいかないかもしれませんが、少なくとも「ズズーッ」と音を立てて食べることは当たり前のことであり、広く認知されています。一度、蕎麦屋で外国の方がざるそばを親の敵とばかりに汁につけて、音を立てないように食べているのを目撃したことがありますが、こちらの食欲が失せたのを覚えています。この方は外国の方だからまだいいのですが、日本人が変な箸の持ち方で麺類を音もなく食べているのは最悪です。「私はバカです。」と言っているようなもんです。
海外に行くと解りますが、薄っぺらな、しかも間違った西洋かぶれの知識しかなく、日本のことを知らない日本人は相手にされませんし、バカにされます。海外で外国の方に箸の持ち方を聞かれることはよくありますが、その時にちゃんと持てないと辛いですね。それだけでかなり見下されます。
かくいうかごぐくたも中学生ぐらいまでは変な持ち方をしてました。しかし、親からは常々「変な持ち方をしている。」と指摘されており、なんとなく意識していたからでしょうか、気がつくとちゃんと持っていました。ですから、人によって差はあるでしょうが、ちょっと意識を持って練習するだけで、直ると思います。
なんにしても、箸ぐらいはちゃんと持ちたいもんですね。
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