巨大タコ君と大格闘−体力の限界−2007年11月25日

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巨大タコ君   (クリックで拡大)
なぜか4本足(理由は下に書いてあります)

   2007年11月25日(日)、地上はすっかり晩秋から初冬に差し掛かり、朝夕はめっきり寒くなりました。しかし、海中はいまだ初秋。水温も22度前後あります。そうは言っても11月に海に潜ったことはありませんので若干の不安はありますが、今シーズン最後とばかりに潜りに行くことにしました。

   まず、サザナミ君を求めて室戸に向かいます。途中、海の様子は凪で好コンディションのように見えます。しかし、室戸が近くなるにつれて波が荒くなってきます。やはり地形的にここは年中波があるのでしょうか?岬の東側ではかなり波があり、潜れない訳ではないでしょうが、ちょっとやる気をそぐには充分な波があります。仕方が無いので、岬の西側に行ってみることにします。すると不思議なことに、東側に比べると多少波は落ち着いています。これなら潜り可です。しかし、そこには別の問題がありました。釣り人です。天気がいいため、そこかしこに釣り人がいます。そんな所で潜ろうものなら、釣られてしまうかも知れません。ということで、せっかく来たのですが、波も少々荒いことですし、諦めてホームの徳島南部まで帰ることにします。

   ホームは湾内部ですので、余程のことがない限り潜り可です。実際に波は全くといっていいほどありません。13時頃、潜り開始です。最初はちょっと冷たいなといった感じですが、慣れればどうということはありません。お魚さんたちも、少し減りましたが、まだまだいます。とある穴を覗くと、大きなタコ君の吸盤が見えます。本来の目的はあくまでも観賞用のお魚採集ですが、タコ君は見逃す訳にはいきません。すかさず臨戦態勢に入ります。しかし改めて見ると、でかいです。巨大です。ぱっと見た感じでも今まで遭遇したタコ君の中でも最大です。迫力満点です。ということで、今回は最初から素手ではなく、途中で購入した400円の銛を使用することにしました。(しかし、これが間違いの本でした。)バシュッと銛を打ち込みます。当然のことながら、タコ君は驚いて穴に篭城を決め込みます。通常であれば、ここで手を突っ込んで、タコ君を引っ張り出せばいいのですが、今回は穴が狭く、片手を突っ込むのが精一杯で、なかなかタコ君を掴むことができません。さらに、タコ君自体が巨大であるため、パワーが半端じゃありません。なんとか足を1本掴み、引っ張り出そうとしますが、全く動きません。何回やってもダメです。しかし、ここであまり時間をかけると本来の目的である観賞用のお魚さんを捕獲できなくなってしまうので、ここはいったん撤退することにします。銛を刺したまま、そこに浮き輪を結んで、目印とし、新天地へ向かいます。

   途中、トノサマ君、ニセフウライ君、アミメ君、ヤリカタギ君、ミスジ君、ナメラ君、ミナミハタタテ君などが居ますが、なかなか捕獲可能な場所にはおらず、指をくわえて見ているだけの状態が続きます。とそこで、30cm強はあろうかと思われるでかガシラ君を発見しました。しかし、銛はタコ君に刺したままです。どうしようかなと思案しつつ観察していると、もう1匹少し小さいガシラ君も同じ穴に発見しました。えてしてこんなものです。仕方が無いので、手網で捕獲を試みますが、穴の奥に消えて行ってしまいました。これはいかんということで、もうタコ君は諦めて、やはり銛は携帯せにゃいかんと思い、タコ君の場所へ引き返します。

   タコ君は相変わらず篭城を決め込んでいます。何回か手を突っ込んでトライしますが、やはり微動だにしませんので、銛を回収して新天地を目指します。(しかし、後ろ髪を惹かれる思いであったことは言うまでもありません。)タコ君を諦めてまで回収した銛ですが、その後使用する機会がなかったのは言うまでもありません。

   そうして、うろうろしていると、捕獲しやすい所にいいサイズのトノサマ君を発見。しかし、いつものように詰めの甘さからすんでのところで取り逃がします。岩と待ち網の間にできたちょっとした隙間をうまくすり抜けていきます。でもいつものことなので、さほどショックも受けません。(本当はこれではいけないのですが。)次に、サンゴイソギンの中にいるクマノミ君かと思いきやミツホシクロスズメ君を発見します。こいつは捕獲したことはありませんが、水槽に入れると大きくなるにしたがって、ならず者と化すとのことなので、どうしようかなと躊躇しますが、なかなかかわいいので、捕獲することにします。クマノミ君同様、楽勝です。ここまでで1時間半ぐらいでしょうか。これ以上やっても何かがあるようにも思えませんので、ぼちぼち撤収することとします。今日は超貧果です。

   撤収途中、ふっと目をやると、何とあのタコ君と戦った穴があります。普通、何の目印もつけない場合はなかなか同じところには戻ってこないものですが、偶然でくわしました。ちょっと覗いてみると、なんと、まだタコ君が居るではないですか。ここから壮絶な第3ラウンドの開始です。

   まず、銛を打ち込みます。当然、これで引き抜けるとは思っていません。穴に手を突っ込み、銛の先っぽを持ち、何とかタコ君の足を引きずり出す作戦です。しかし、タコ君からすれば正に命を賭けた抵抗な訳で、そう簡単には足を掴ませてくれません。最初はわずかに足の先を掴める位でしかありません。しかしこれでは絶対に引きずり出すことは叶いません。

   何回やってもらちがあきませんので、次に、手前の小石を掘って穴を深くし、タコ君を掴む作戦にでます。何回か水面を往復し、掘り進むと、穴は多少広くなり、結果、タコ君の足1本を根元から掴むことができました。やりました。ここまでくれば後は引っ張り出すだけです。渾身の力を込めて引っ張り出します。しかし、予想に反して、微動だにしません。穴は広がったとはいえ、両手を突っ込めるほどではないので、片手のみですが、それでも一丁前の成人男子が水中とはいえ全体重をかけて引っ張っているのです。それなのにまったく動きません。しかし、タコ君も無傷ではないらしく、こういった攻防を何回か繰り返しているうちに、とうとう引っ張っている足の力はなくなってきました。そして、何回目かに引っ張ったときに、な、な、なんと、足が切れてしまいました。敵ながら、あっぱれです。などと感心している場合ではありません。

   こちらもこのままでは引き下がれません。どうしたものかと水面で考えていると、なんとタコ君が穴から出てきました。初めて明らかになった全体像ですが、で、でかいです。しかも、相当お怒りのようで、体の表面をトゲトゲにして怒りを表現していらっしゃいます。この大きさ+トゲトゲの威嚇で、不覚にもビビッてしまいました。本来ならば、ここでタコ君の本体をわしづかみにして捕獲すべきところを、あろうことか、銛で突いてしまいました。すると当然のようにタコ君はもといた穴にお帰りになってしまいました。大失敗です。正に千載一遇のチャンスを逃すとはこのことです。

   振り出しに戻り、最初と同じように、何とか足を1本掴み引っ張る攻撃にでます。理論的に抵抗力は7/8になっているはずですが、まったく動きません。再度の綱(足)引き?が始まります。そうしてやはり何回かすると、またもや足が切れます。本当にすごいタコ君で、結局このような攻防を延々と繰り返し、足4本が切れてしまいました。さすがにタコ君も弱ってきたと見え、ようやく頭を掴むことができ、エイッとばかりに引き出すと少しだけ体全体が穴の入口の方に出てきました。しかしこの頃にはかごぐくたの体力も限界に近づいています。息は上がっていますし、腕には力が入りませんし、握力もなくなってきています。さらに、日没も迫り、潮も満ちてきています。さすがに暗くなると危険なので、半泣きになりながら、足4本で撤退しようかとも思いましたが、ここで撤退してもおそらくタコ君はお亡くなりにあるであろうと思われますので、ここはちゃんと捕獲して美味しく頂いてあげるのが礼儀というもの。最後の力を振り絞ることにします。頭を掴み何度かトライすると、頭全体が入り口まで出てきて、ようやく両手で掴めるようなりました。そこで、両手で頭を掴みその時点での渾身の力を込めて引き抜きました。正に詰った便器が通るように「スポーン」という感じで引き出せました。ここまで、1時間以上は軽くかかっており、水面と底を何回往復したか判りません。もう本当にヘトヘトです。辺りは薄暗く、潮は満ちています。本来ならばすぐに退散するところですが、丘に上がってしばらく(10分ぐらい)は動けませんでした。(その後、3日ぐらいは両腕に疲労感が残り、力が入りませんでした。)タコ君恐るべしです。

   帰る途中に、同僚H君にメールを入れると、タコ君をもらってくれると言うので、切れた足4本を差し上げました。という訳で、写真のタコ君は足が4本しかありません。しかし、この状態でも2.8kgありましたので、足4本を入れると優に3kgは越す巨大ダコ君です。また、写真から判る通り、新聞紙見開きの対角線よりも大きいです。かごぐくたが過去に遭遇したなかでも最大です。あまりにでかいので、茹でるときは頭部と、脚部を分けて、さらに脚は2回に分けました。それでも2分半も茹でるとちょっと硬くなってしまいました。2分ぐらいでよかったのかもしれません。でも美味しかったですよ。

   おそらく2007年はこれが最後の潜りになると思います。あくまでも、本来の目的は観賞用お魚さんなのですが、このような結果になってしまいました。しかし、そこにタコ君やガシラ君のように食用のお魚さんたちがいると無視できないのは一生治りそうにありません。しかし、疲れました。



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